ダイキン工業インタビューその7|日本でものづくりを続ける意義とは?
JMI生産・開発マネジメントコースの修了者である、ダイキン工業の高橋さんを訪問しました。
日本能率協会の平井がインタビューいたします。(以下敬称略、役職当時)
日本でものづくりを続ける意義とは?
平井
最後に、今年も今テーマ研究を皆さんが進めていて、日本でものづくりを続ける意義や、現代人が持つ毎日の不安感というようなテーマに取り組もうとしているチームがあります。
まず前者の「ものづくりを日本で続ける意義」についてどう思われますか。
今どんどん生産拠点を海外に移す会社が増えている中で、高橋さんはどうお考えですか。
高橋
産業の発展段階として、まず製造のみの工場があって、もう少しすると商品開発もしようということになる。
そのうちに、コア技術だけで勝負したり、仕組みでビジネスをするということころが出てくる。
例えば規格ビジネスといわれるもので、その業界を成り立たせるためのインフラをコントロールするというビジネスが、うまい商売だといわれたりする。
そんな中で日本はどのようなビジネスをしていくべきか。
何か規格や標準を作って推し進めるビジネスというのは、皆が守ってくれなくなった時が怖いですね。
お金を払ってくれないかもしれない。
国によってはその国力をもって他国に強制力のある施策をとるところもありますが、日本の国はそんなやり方はしませんね。
日本のビジネスで大切なのは、消費者や社会が味方してくれるかどうか、ということだと思います。
海外の地域に工場を作って、そこの地域の人に働いてもらって、そのうえで販売をするということをしっかりやって、現地の人たちが応援してくれれば力を常に持ち続けることができる。
それに対して、商品企画や仕組みの強みだけに注力して、苦労する生産や販売はよそにまかせてしまうというのは、最初は効率の良い商売だけれども、徐々に実力も味方も失い最終的には自分たち自身も失ってしまう。
平井
自分の土俵だと思っていたところまで失いますね。
高橋
そこの社会に密接につながりを持つということが、日本のビジネスのディフェンス力になると思います。
その起点になるのが工場であり、工場でのものづくりを通じてそこの社会の応援をもらって味方になってもらう。
「日本のものづくり」を高めておくことでそれが可能と思います。
平井
いろいろお聞かせいただき、ありがとうございました。
〜7/7 page〜