武田薬品工業インタビューその3|多品種少量品のものづくりに必要な考え方とは?
ブロック単位でものを見て、そのものを置き替えたらどうなるかという考え方ですね。
まさに藤本先生の影響を受けています。
2012年度JMI生産・開発マネジメントコースの修了生である、武田薬品工業株式会社の上永吉剛志さん(CMC研究センター バイオ技術研究室 リサーチマネジャー)を訪問しました。
日本能率協会の安部武一郎がインタビューいたします。(以下敬称略、役職当時)
多品種少量品のものづくりに必要な考え方とは?
(安部)
受講当時の仕事の内容や業務上の役割を紹介していただけますか。
(上永吉)
当時は主席研究員だったので、仕事の役割としては製造の効率化です。
いわゆる生産管理としてどう考えていくべきか、です。
その中で、藤本先生の考え方、アーキテクチャーなどはかなり影響を受けました。
薬をより早く提供するというところがわれわれの一番の課題になっていますので。
ご存じのように、製薬の仕事は規制が強いため、何年間かステップを踏んで
薬をつくらなければいけないのですが、その中で効率化を考えるのは難しいのです。
その部分については、授業でもダイレクトなヒントをもらえたわけではないのですが、
どういうふうに見ればいいか、考えればいいか、というのは学べた気がします。
(安部)
スケールアップができたところからの量産の効率化ではなく、
ラボなどで開発・研究されたものを、スケールを大きくするところが主たる業務で、
それをいかに効率良く行うかが上永吉さんにとって大事になるのですね。
(上永吉)
そうですね。スケールアップもそうですし、医薬品ですから、
高品質で安全な薬を作りこみ、それも早く供給しなければいけないので、
早く回さなければいけません。
(安部)
では、ラボからお客様に届けるところまで、かなり広く業務範囲に含まれるのですね。
(上永吉)
はい。
いわゆる基礎研究から上がってきたシーズ(我々はパイプラインという言い方をするのですが)を
薬として供給できるように製造プロセスを開発します。
この間、臨床試験のフェーズは、ⅠからⅢまであり、最終的に承認申請に進みます。
我々の仕事は、これらの活動をとおして、高品質で安価な原薬を安全に製造する技術を確立し、
商用製造へ向けて研究成果を引き継ぎするところまでです。
治験医薬品の製造プロセスは、パイプライン毎に違っており、ルーチンで生産するのではなく、
パイプラインにあわせて製造プロセスを変えていかなければならない。
そのような環境で、マルチ生産として研究開発をしなければならないところが
非常に難しいところです。
(安部)
多品種少量的な感じですね。
おっしゃるとおり、それは日本の強みにもつながるかもしれません。
(上永吉)
ちょうど私がここに来た当初、JMIで講義を受けながら出合った技術で私の職場を改造しまして、
よりマルチで生産できるような設備を更に改善しました。
(安部)
それはこのコースで何かしらヒント、きっかけを得ていただいたのですか。
(上永吉)
はい。それがまさにアーキテクチャーです。
ブロック単位でものを見て、そのものを置き替えたらどうなるかという考え方ですね。
まさに藤本先生の影響を受けています。
そういう技術は知っていましたが、いろいろJMIで学んで、活用しなければまずいだろうと考えました。
ここの授業は結構ヒントになっています。
(安部)
その展開力といいますか、実践力の早さには脱帽します。
(上永吉)
ありがとうございます(笑)。