NECインタビューその2|競合相手とのディスカッションを通じて得られる最大の気付きとは?
商品について語るのではなく、仕事の進め方や企業文化の話だったことも、
腹を割って議論を進めるうえでは大きかったと思います。
JMI生産・開発マネジメントコースの派遣責任者である
日本電気株式会社の市原直人さん(サプライチェーン統括ユニット 主席品質主幹、当コース第6期生、共同テーマ研究コメンテータ)を訪問しました。
日本能率協会の中川雅志がインタビューいたします。(以下敬称略、役職当時)
競合相手とのディスカッションを通じて得られる最大の気付きとは?
中川
次の質問ですが、市原さんはJMIのOBです。
JMI受講当時の思い出について、いろいろと聞かせて
いただきたいと思います。
例えば、心に残っている講師の話、あと同期との会話、
その辺りはいかがでしょうか。
市原
やはり1番心に残っているのは、論文の作成です。
私たちは開発プロセスや商品企画プロセス、当時世の
中から注目を集めていたコンカレント・エンジニアリ
ングというキーワードに紐づけながらテーマを考えて
いました。
業種も業態も全然違う仲間で共通の関心事を絞り込み、
それを議論しつつ、全員がこの研究をして良かったと
思えるようにするには、どうすればいいかということに
知恵を絞り合いました。
中川
業種は全然異なり、仕事の環境も違います。
その中で、全員が腹落ちする課題を見つけるのは、大変だったと思います。
最終的に、どのようにして落としどころとなるテーマを見つけたのでしょうか。
市原
議論はかなりしました。
酒を飲みながら、それぞれが見学した講義や工場の感想を「俺はここにすごく感心した」、「俺はここだったな」という感じで話しているうちに、少しずつテーマが出てきました。
論文をどうしようか、という話し合いではありませんでしたね。
中川
お互いのことを知るための時間が必要という事ですね。
市原
かなり必要でした。
最後の最後には話し合って論文を仕上げますが、それに至る過程でどこまで自分たちに与えられた機会をうまく利用するのかを考えるのに、とても時間がかかりました。
中川
同期の方との議論が印象に残っているということですね。
特に心に残った話や印象深い行動など、覚えているものがありましたら、ぜひ教えてください。
市原
私のチームには製造業の人、似たような業種の人が多かったです。
それでも、会社の文化によって狙いや徹底度などが異なっているのは面白かったですね。
電機業界や事務機器メーカーの人とは、結構近いものがありましたよ。
場合によっては競合相手の方もいましたが、「実はこうなんだ」という話がお互いにできたので、そこはすごく参考になりました。
商品について語るのではなく、仕事の進め方や企業文化の話だったことも、腹を割って議論を進めるうえでは大きかったと思います。
中川
今おっしゃったように「実は」という形で皆様が腹を割って話ができる場、我々は「安全な修羅場」といっていますが、そういう場を作れることがMIのいいところかもしれません。
先生のご講演については覚えていらっしゃいますか。
市原
米国の農機具メーカーの変遷、そして経営危機のときに何をしたかという話がありました。
「もうこれはリストラしかない」とか「1回縮んだら大きくならない」とか「いやいや、そのマイナス面は大きすぎるから、こうすべきだ」などと議論していましたね。
でも、よくよく聞いていると、自分の会社のやり方や自分の周囲で起きたことを例に出して考えているのです。
会社によって考え方が違うことに気づいたのが、とても面白かったですよ。
中川
自社が経営危機に陥った際に何を大事にするかというところですね。
市原
アプローチのときも、厳然たる事実に対し、「こうするしかない」というのと、「いやそうじゃない」という2種類の考えが出ました。
プラス面を見るか、マイナス面を見るかが、会社の文化によって変わってくるものなのですね。